ノルウェー、小学校で生成AI全面禁止へ
ノルウェー政府は2025年8月下旬から、小学校1〜7年生を対象に生成AIツールの使用を全面禁止すると発表した。中学・高校段階では教員の監督下に限り使用を認める。ストーレ首相は「子どもはまず読み・書き・計算を学ぶべき」と述べており、基礎学力の習得を最優先する姿勢を示している。

ノルウェー政府は2025年8月下旬から、小学校(1〜7年生)での生成AIツールの使用を全面的に禁止する。中学・高校段階(日本でいう中等教育)では、教員の監督下に限り使用を認める方針だ。これは国として教育現場でのAI利用ルールを明確に定めた、欧州でも数少ない事例のひとつとなる。
背景には、子どもが基礎的な学習スキルを十分に身につける前にAIを使い始めることへの懸念がある。ヨナス・ガール・ストーレ首相は、子どもはまず「読み・書き・計算を学ばなければならない」と述べており、AIの便利さが基礎学力の習得を妨げることを問題視している。生成AIが急速に普及するなかで、学校現場での扱いをどうすべきかという議論は世界各地で起きており、ノルウェーはその中でも慎重な立場を選んだ国といえる。
今回の措置の対象は、ChatGPTのような文章を自動で生成するタイプのAIツール全般とみられる。1〜7年生は授業中か否かを問わず使用が認められない一方、それ以上の学年では教師が場を管理した上での利用に限定される。禁止の開始時期は2025年8月下旬とされており、新学期にあわせて施行される見通しだ。
この決定が持つ意味は、単なる教育ルールの整備にとどまらない。子どもの脳が発達する段階で、思考の代替としてAIを使うことが長期的にどのような影響をもたらすか、まだ十分な研究知見がないなかでの判断だ。一方で、AIを適切に活用する能力もこれからの社会では不可欠であり、禁止と活用のバランスをどう設計するかは難しい課題として残る。
欧州では生成AIをめぐる規制論議が活発で、EU全体でもAI法(AI Act)の整備が進んでいる。ノルウェーはEU加盟国ではないが、欧州経済領域(EEA)の一員として欧州の規制動向と密接に関わる立場にある。子どもの教育という観点から国レベルでAIに制限を設けた今回の動きは、他国の政策立案者にとっても一つの参照点になりうると見ることができる。
今後の注目点は、禁止措置が実際の教育現場でどう運用されるかだ。ツールの判定基準や違反時の対応、保護者や教員への周知といった具体的な実施策はまだ明らかになっていない。また、技術の進化とともに「生成AI」の定義自体も変わりうることを考えると、ルールの柔軟な見直しを続ける仕組みが求められるという見方ができる。
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