AI技術Poolside2026年7月22日 10:22

Poolside、コーディング特化オープンモデル「Laguna S 2.1」を公開

米AIスタートアップのPoolsideは2025年7月、コーディング特化のオープンウェイトモデル「Laguna S 2.1」を公開した。同モデルは自社の約10倍以上のパラメータを持つ競合モデルを複数のベンチマークで上回ったと同社は発表しており、西側として11か月ぶりとなる同規模帯のオープンウェイトモデルのリリースとなる。

Poolside、コーディング特化オープンモデル「Laguna S 2.1」を公開

米サンフランシスコのAIスタートアップ、Poolsideが新しいコーディング向けAIモデル「Laguna S 2.1」を公開した。モデルの重みはHugging Face上でOpenMDW-1.1ライセンスのもと即日公開されており、誰でも自由にダウンロード・利用できる。設立から3年、主に政府や防衛機関向けにモデルを提供してきた同社が、初めて一般向けのオープンウェイト(重み公開型)モデルを世に出したかたちだ。

近年、企業や開発者の間では「オープンウェイトモデル」の採用が急速に広がっている。クラウドサービスに依存せず自社インフラ上で動かせるため、セキュリティやコスト面で有利だからだ。ところが、こうした利用に適したオープンモデルの有力な選択肢は、DeepSeekやQwen、Kimiといった中国発のモデルが中心となってきた。Poolsideの発表資料によれば、同じ規模帯に西側の研究機関がオープンウェイトモデルを投入したのは、昨年8月のOpenAI「gpt-oss-120b」以来11か月ぶりだという。

Laguna S 2.1の構造は「MoE(混合エキスパート)」と呼ばれる方式を採用している。これは、モデル全体のパラメータ(AIの思考を支える設定値)は1180億個あるものの、実際に処理が行われる際に動く部分は80億個分にとどめることで、大規模な性能を小さな計算コストで実現する仕組みだ。また、最大100万トークン(日本語で約50万〜75万字相当)の文脈を一度に処理できるコンテキストウィンドウも備える。

性能面では、長時間のターミナル操作タスクを評価するベンチマーク「Terminal-Bench 2.1」で70.2%のスコアを記録し、1.6兆パラメータのDeepSeek-V4-Pro-Max(64.0%)や5500億パラメータのNvidiaのNemotron 3 Ultra(56.4%)を上回ったと同社は発表している。コーディング評価基準として広く使われる「SWE-Bench Multilingual」では78.5%、「SWE-Bench Pro」公開データセットでは59.4%を記録した。自社より数倍大きいモデルをスコアで超えたという点で、規模と性能の関係を問い直す結果と言える。

開発スピードも注目に値する。事前学習の開始が5月22日、公開が9週間未満という短期間での完成だ。使用したGPUはNvidiaのH200が4096枚。AIの主力モデル開発には通常数か月から1年以上かかることを考えると、同社はこの3か月間で3つのモデルを相次いでリリースしていることになる。

Poolside共同CEOのジェイソン・ワーナー氏は発表の中で「西側には信頼でき、自分たちで動かし、その上に構築できるオープンウェイトモデルが必要だ」と述べた。また、共同創業者でもう一人の共同CEOであるアイソ・カント氏はX(旧Twitter)への投稿で「インテリジェンス(AIの能力)は商品になるべきであり、そうなるだろう」と主張。オープンモデルが生き残るには、クローズドモデルと同等以上の性能が必要だという考えを示した。

この動きは、AIの覇権争いが単なる性能競争を超え、「どの国・陣営が信頼できるオープンAIを供給できるか」という地政学的な問いとも絡み合ってきていることを示している。Poolside自身のビジネスの中心は、モデルをセキュアな環境で展開するエンタープライズ向けサービスにある。オープンウェイトとしての公開は、西側企業や政府機関が中国製モデルへの依存を避けながらAIを活用する選択肢を広げるという、戦略的な意味合いを持つと見ることができる。

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AI issue 編集部

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