Anthropic、Claude CoworkをモバイルとWebに拡張
Anthropicは2025年6月、AIエージェント「Claude Cowork」をモバイルとWebに対応させた。同社が公開した利用データによると、120万セッションの分析で最多用途は「業務プロセス管理」(33.4%)、次いで「コンテンツ作成」(16.4%)であり、ソフトウェア開発の利用は8.7%にとどまった。多くのユーザーがプログラミング以外の日常業務にCoworkを活用している実態が明らかになった。

Anthropicは2025年6月、AIエージェント機能「Claude Cowork」をモバイルアプリとWebブラウザに対応させた。これまでデスクトップ専用だったこのツールが複数のデバイスで使えるようになったことで、パソコンで始めた作業をスマートフォンで確認するといった使い方が可能になる。まずMaxプランの加入者を対象としたベータ版として提供を開始し、今後ほかのプランにも段階的に広げていく予定だ。
Coworkの特徴は、ユーザーがアプリを閉じた後もタスクをバックグラウンドで自動的に処理し続ける点にある。つまり、作業を「指示して任せる」ことができ、後から結果を確認するだけでよい。こうした非同期的な働き方を支える仕組みは、これまで主にエンジニア向けのAIコーディングツールで議論されてきたが、Anthropicは今回のアップデートでより広い職種の知識労働者への普及を意識した展開へと舵を切った形だ。
今回の発表に合わせて、Anthropicは実際の利用実態を示すデータも公開した。2025年5月11日から31日の間に匿名化されたClaude Coworkセッション120万件を抽出・分析したもので、60万以上の組織が対象となっている。その結果が示したのは、ユーザーの大多数がプログラミング以外の用途でCoworkを使っているという事実だ。
利用目的の内訳を見ると、最も多かったのは「業務プロセスと業務管理」で全体の33.4%を占めた。これは複数のソースから情報をまとめてレポートを作成したり、オンボーディング用チェックリストを構築したりといった作業を指す。2番目は「コンテンツ作成・ライティング」で16.4%。この上位2カテゴリだけで全体の約半分に達する。一方、ソフトウェア開発は8.7%にとどまり、DevOps・インフラが7.0%、調査・情報収集が6.4%、データ分析が5.8%と続く。
Anthropicはこれらの主要用途を「仕事にまつわる仕事(the work around the work)」と表現している。特定の職種に紐づく専門スキルではなく、プロジェクトを前進させるために誰もが日々こなしている連携業務や庶務的なタスクを指す言葉だ。進捗報告の下書き、スライドの作成、膨大な調査資料を1枚のレポートに凝縮する作業といったものが、その代表例として挙げられている。
エンタープライズAIの市場では、開発者向けのコーディング支援ツールが注目を集めてきた経緯がある。しかし今回のデータは、実際の企業現場でAIが活用されている場面は、そのイメージとは大きくかけ離れていることを示している。コードを書かない職種の人々が、日常業務の効率化にAIエージェントを取り込んでいるという傾向は、AI活用の主戦場が開発部門から組織全体へと広がりつつあることを示唆しているという見方ができる。
モバイル対応によって「いつでもどこでも作業を任せ、後で確認する」という使い方が現実的になったことで、業務用AIツールの利用機会はさらに拡大する可能性がある。Anthropicがどの職種・業種での採用を次に伸ばすのか、またプランの拡大スケジュールがどう進むかは、今後の注目点となる。
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