AI産業1password2026年7月15日 12:24

1Password、AI利用コスト管理機能を追加

1Passwordは、SaaS管理プラットフォーム「SaaS Manager」にAIコスト管理機能「AI Spend and Consumption Management」を追加すると発表した。Anthropic、OpenAI、Cursorなど主要AIベンダーのトークン消費量と支出をリアルタイムで一元管理できる。現在はパブリックプレビュー段階で、一般提供は2026年秋を予定している。

1Password、AI利用コスト管理機能を追加

パスワード管理ツールとして知られる1Passwordが、企業向けのAIコスト管理機能「AI Spend and Consumption Management」を発表した。同社のSaaS管理プラットフォーム「SaaS Manager」に組み込まれる形でリリースされ、現在はパブリックプレビュー段階にある。広く一般提供が始まるのは2026年秋を予定している。

この機能が生まれた背景には、企業のAI支出の「見えにくさ」という問題がある。ChatGPTやClaudeといった大規模言語モデルのAPIは、従来のソフトウェアのように「1人あたり月額いくら」という固定料金ではなく、使った分だけ課金される「トークン消費型」の料金体系をとる。トークンとは、AIが処理する文字や単語の単位のことで、問いかけの内容や長さによってコストが変動する。このため、開発チームが大量にAIを使っても、請求書が届くまで経営陣や経理担当者が気づかないという事態が起きやすい。

具体的な機能としては、AnthropicやOpenAI、Cursorといった主要AIベンダーの管理APIに直接接続し、トークン単位の消費データを毎日取得する。取得したデータは複数のベンダーをまたいで単一のダッシュボードに統合され、チーム・ユーザー・ベンダー・モデルの各軸で利用状況を分解して確認できる。また、ベンダーごとに支出上限を設定したり、一定のしきい値を超えた際にSlackやメールで通知を受け取ったりする機能も備わっている。

同社CFOのグレッグ・ヘンリー氏は「経営幹部は開発チームにAIを使って速く動けと求める一方で、そのスピードが新たなコスト圧力を生んでいる。開発者はトークンを従来の予算管理では追いきれないペースで消費しており、ITや経理の担当者はコストの実態を把握できないまま投資の根拠を説明しなければならない」と述べ、機能開発の動機を説明した。

1Passwordが今回の動きで重ねているのは、クラウドインフラが普及した際の歴史だ。AWSやAzure、Google Cloudが2010年代に使った分だけ課金されるクラウドサービスを広めたとき、企業はコストを把握・最適化するツールを持っていなかった。その空白を埋めるため、クラウドコスト管理に特化したベンダーが多数誕生し、FinOpsと呼ばれる専門領域として確立していった。ヘンリー氏はAIのトークン支出が、次に同様の課題を生む領域だと明言している。

1Password自体も、ここ数年で大きく事業の軸を動かしてきた企業だ。個人向けパスワード管理ツールとして出発した同社は、この3年ほどでアイデンティティセキュリティとSaaSガバナンスの企業向けプラットフォームへと戦略を転換してきた。今回のAIコスト管理機能は、その延長線上に位置する取り組みだと位置づけられる。

生成AIの業務活用が広がるなか、コストの「透明性」をどう確保するかは多くの企業に共通する課題となりつつある。AIサービスの料金体系は複雑で、複数ベンダーを並行して使う組織ではとくに全体像が見えにくい。1Passwordのような既存のSaaS管理プラットフォームがこの領域に参入したことは、AI支出管理が一部の先進企業だけの問題ではなく、企業ITの標準的な管理対象へと移行しつつあることを示す動きと見ることができる。

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AI issue 編集部

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