AI産業OpenAI2026年6月27日 20:21

OpenAI、GPT-5.6ファミリーを限定公開

OpenAIは2026年、新世代AIモデル「GPT-5.6」ファミリー(Sol・Terra・Lunaの3種)の限定プレビューを開始した。現在は約20組織のみに提供されており、一般公開は数週間以内を予定している。トランプ政権が発令したAI安全審査に関する大統領令を受け、OpenAIは米国政府と事前に計画を共有したうえで段階的なリリースを選択した。

OpenAIは、新しいAIモデル「GPT-5.6」ファミリーの限定プレビューを開始した。このファミリーは用途の異なる3つのモデル——Sol、Terra、Luna——で構成されており、現時点では約20の組織に対してのみ提供されている。一般公開は「数週間以内」を予定しているとOpenAIは明らかにした。

3つのモデルはそれぞれ異なる用途を想定して設計されている。Solは複雑なコーディングやセキュリティ研究など、高度な推論を要する作業向けの最上位モデルだ。Terraは顧客サポートや社内ツール、文書分析といった大量処理が必要なビジネス業務に対応する。一方、Lunaは文書の要約や下書き作成、定型業務の自動化など、日常的な作業を素早く低コストでこなすことを目的としている。SolとTerraはベンチマーク評価で高いスコアを記録した一方、Lunaは最速・最低価格というポジションでありながら、複数のテストでGPT-5.5に近い性能を示した。

価格面では、Solの料金設定がGPT-5.5と同水準の入力100万トークンあたり5ドル、出力100万トークンあたり30ドルであることが確認されている。ただし、TerraとLunaの価格については現時点で原文に詳細な記載がなく、正確な数値は明らかになっていない。OpenAIはSolについて、長時間にわたるコーディングやセキュリティ関連タスクで大幅な性能向上を実現したと述べている。

今回の段階的なリリースには、アメリカの政策動向が深く関わっている。トランプ大統領は2026年6月2日に大統領令を発令し、新しいAIモデルの安全性と社会的適正を評価するための連邦機関横断の仕組みを整備するよう指示した。この審査プロセスは30日間、つまり7月2日を目途に進められる予定で、その期間中OpenAIは米国政府と事前に計画とモデルの性能を共有したうえで、政府の要請に応じて少数の信頼できるパートナー企業のみに公開することにしたと説明している。

この動きには、競合他社をめぐる事態も影響していると見られる。OpenAIの主要な競合であるAnthropicは、同社の強力なモデル「Claude Fable 5」で安全機能を迂回する手法(ジェイルブレイク)が発見されたとして、米国政府から輸出規制命令を受けた。これを受けてAnthropicは、一般向け・企業向けを問わずFable 5とサイバーセキュリティ特化型モデル「Claude Mythos 5」へのアクセスを全て停止した。なお、Anthropicは同年4月にさかのぼるサイバーセキュリティ研究プログラム「Project Glasswing」の参加者に対し、Mythos 5の前身モデルを「Claude Mythos Preview」として限定公開していたという経緯がある。

こうした一連の動きは、AIモデルの公開プロセスが政府の安全審査と連動する新しい時代への移行を示している、という見方ができる。これまでAI企業は独自の判断で新モデルを公開することが多かったが、今後は政府の審査や規制枠組みと調整しながら段階的にリリースする流れが定着する可能性がある。企業の導入担当者にとっては、リアルタイムの安全対応や法令遵守への対応が、AI活用の前提条件として重要性を増していくという点に注目が必要だろう。

GPT-5.6ファミリーの一般公開時期は現時点では未定で、「数週間以内」とされるのみだ。政府主導の評価プロセスが7月2日を節目として進む中、その結果がリリーススケジュールにどう影響するかが今後の焦点となる。AI業界全体のリリース慣行が変わりつつある今、今後の動向が他の企業の行動にも影響を与える可能性がある。

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AI issue 編集部

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