GPT-5.6 Sol、30年未解決の統計予想を90分で反証
ペンシルベニア大学の統計学教授が、OpenAIの「GPT-5.6 Sol Pro」を使い、約90分でベンジャミニ・ホッホベルク法に関する30年来の未解決予想を反証した。前世代モデルのGPT-5.5は同じ問題に20時間以上取り組んでも解を出せなかった。ただし導き出された解は既存手法の組み合わせによるものとされており、AIが真に新しい知識を生み出せるかという問いは引き続き残る。

ペンシルベニア大学の統計学の教授が、OpenAIの最新モデル「GPT-5.6 Sol Pro」を使い、約90分で統計学上の未解決予想を反証した。この予想は「ベンジャミニ・ホッホベルク法」と呼ばれる多重検定の手法に関するもので、30年近く数学・統計学のコミュニティでも解決されていなかった問題だ。
ベンジャミニ・ホッホベルク法とは、複数の仮説を同時に検証する際に誤りを抑制する統計手法で、科学研究において広く使われている。今回反証された予想は、その手法の中心的な性質に関するものだった。長年にわたって多くの研究者が取り組んできたにもかかわらず、証明にも反証にも至らなかった「未解決問題」として残っていた。
注目すべき点は、旧バージョンである「GPT-5.5」が同じ問題に20時間以上取り組んでも答えを出せなかったことだ。GPT-5.6 Sol Proはその制約をわずか90分で突破した。ただし、導き出された解は「全く新しい数学的発見」というわけではなく、既存の手法を組み合わせた形だったという。
この結果が示す点は、モデルの世代が変わることで推論の質が大きく変化しうるということだ。20時間で解けなかった問題が90分で解決されたという対比は、単なるスピードの差ではなく、問題への取り組み方そのものが変化した可能性を示唆している。同時に、その解が「既知の手法の組み合わせ」に留まるという事実は、重要な問いを残す。
その問いとは、「AIは本当に新しい知識を生み出せるのか、それともすでに学んだ情報を再構成しているだけなのか」というものだ。今回の件では、結果は既存の知見の範囲内にあったとされる。AIが人間の研究者が見落としていた組み合わせを発見したという意味では価値があるが、人間の思考を完全に超えた「創造」かどうかは、まだ議論の余地がある。
一方で、数十年解かれなかった問題にAIが貢献したという事実は、数学・統計学・基礎科学の分野におけるAI活用の可能性を改めて示すものと位置づけられる。単純な文書作成や情報検索ではなく、専門的な推論が求められる領域でAIがどこまで機能するかという問いに、一つの事例が加わったことになる。今後は「既存知識の組み合わせ」の域を超えた、真に新しい発見をAIが生み出せるかどうかが、研究コミュニティの注目点になっていくという見方ができる。
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