AWS、AIエージェント向け知識グラフサービスを発表
AWSは2025年、AWS Summit NYCにおいてAIエージェント向けの新サービス群を発表した。中核となる「AWS Context」は、企業の既存データから自動で知識グラフを構築し、エージェントの利用履歴をもとに継続的に精度を向上させる仕組みを持つ。Amazon S3 Annotationsの一般提供開始とAWS Glue Data Catalogの新機能プレビューも同時に公開された。

AmazonのクラウドサービスAWSは、AIエージェントが企業データを活用するための「コンテキスト層」を構築する3つの新サービスを発表した。発表はニューヨークで開催されたAWS Summit NYCで行われ、中核となる「AWS Context」をはじめ、「Amazon S3 Annotations」の一般提供開始と、「AWS Glue Data Catalog」のスキルアセット機能のプレビューが同時に公開された。
コンテキスト層とは、企業が持つ大量のデータとAIエージェントの間に立ち、エージェントが「何を参照すべきか」を理解できるようにする仕組みだ。これまでこの領域には標準的なサービスがなく、企業ごとに独自の実装が必要だった。AWSはこの課題を解決するため、エージェントの利用実績から自動的に学習するアプローチを採用した。
AWS Contextは、企業が既存のデータから自動で知識グラフを構築するサービスだ。知識グラフとは、データ同士の関係性を地図のように整理したもので、どのテーブルに何の情報があるか、各データソース間にどのような関係があるかといった情報を自動で推定する。AWSのアジェンティックAI担当バイスプレジデントであるSwami Sivasubramanian氏は、「エージェントが使い続けるにつれて、どのデータソースが正確な結果をもたらすかを学習し、知識グラフ自体が自動で改善される」と説明している。
データの管理者はAWS管理コンソールから推定された関係性を確認し、業務上の定義や利用ルールを付与したうえで本番環境へ反映できる。また、アクセス権限の管理にはAWSが提供する既存のIAMやLake Formationの仕組みが活用されており、誰がどのデータにアクセスしたかを追跡できる。メタデータはAmazon S3にApache Iceberg形式で保存されるため、AthenaやRedshiftなど標準的なエンジンから参照でき、AWS独自のAPIへの依存を避けた設計になっている。
あわせて発表されたAmazon S3 Annotationsは、ストレージ上のファイルひとつひとつに業務上の意味や補足情報を直接付与できるサービスだ。これにより、データが保存された時点でその文脈情報を持たせることができ、AIエージェントが参照する際の精度向上につながる。AWS Glue Data Catalogのスキルアセット機能はプレビュー段階であり、詳細については今後の公開を待つ必要がある。
コンテキスト層の整備は現在、複数のベンダーが参入する競合分野になっている。AWSは「人手によるデータの再整備なしに、エージェントの使用から自動で学習するグラフ」という独自のアプローチで市場に参入した。エージェント型AIの活用が広がる中、企業データの整備にかかるコストと手間をどこまで自動化できるかが、今後の普及を左右する重要な要素となる。
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