MATCH法、旧世代EUV装置も輸出規制対象に
ASMLのクリストフ・フーケCEOは2025年5月、米国で審議中のMATCH法が成立すると、中国が現在購入できる旧世代のDUV(深紫外線)露光装置も輸出規制の対象になると述べた。これらの装置は約10年前に初出荷されたもので、最先端のEUV装置がすでに禁輸となる中、中国の半導体メーカーが依存している製品にあたる。規制範囲のさらなる拡大をめぐり、欧州の半導体装置業界と米国当局の間で緊張が高まっている。

米国議会で審議中のMACH法(Match Act)が成立すれば、中国が現在購入できる半導体製造装置の一部も新たな輸出規制の対象に加わる可能性が出てきた。ASMLの最高経営責任者(CEO)クリストフ・フーケ氏が2025年5月にTechCrunchのインタビューで明らかにしたもので、規制の対象として想定されているのは深紫外線(DUV)露光装置の旧世代モデルだ。
DUV装置は、半導体の回路を光で描き込む製造工程で使われるリソグラフィ機器の一種で、ASMLが主力製品として長年販売してきた。フーケCEOによると、中国が現在入手できるのはこの旧世代のDUV装置であり、それらはおよそ10年前に初めて出荷が始まった製品にあたる。最先端の半導体製造に使われるEUV(極端紫外線)装置は、すでに中国への輸出が禁止されているため、中国メーカーはDUV装置を活用して半導体生産を続けている状況にある。
MATCH法はこうした旧世代のDUV装置にまで規制の網を広げようとするものだ。同法が成立すれば、ASMLにとっては中国向け販売のさらなる縮小を意味し、同社の事業に直接的な影響が及ぶ。ASMLはオランダに本拠を置く世界最大の半導体製造装置メーカーであり、同社製品なしに最先端の半導体を量産することは事実上不可能と位置づけられている。
こうした動きに対し、欧州側は警戒感を強めている。輸出規制の対象拡大は、半導体産業において欧州企業が主要な収益源としてきた中国市場へのアクセスを一段と狭める。米国主導の輸出規制は、もともとは最先端技術の流出防止を目的として段階的に強化されてきたが、今回のMATCH法の議論はその範囲を旧世代装置にまで拡張しようとしており、規制の論理が一つの転換点を迎えつつあるという見方ができる。
半導体製造装置の輸出規制をめぐっては、米国・オランダ・日本の3か国が主要な協調枠組みを形成してきた。ただし、規制内容や範囲については各国政府と産業界の間で繰り返し調整が行われており、今回の法案をめぐっても欧州企業と米国当局の間で認識の隔たりがある。ASML側は旧世代装置が最先端技術の開発に直結するわけではないという立場をとっており、規制範囲の妥当性について議論が続いている。
今後の焦点は、MATCH法の審議がどのような形で決着するかだ。規制が旧世代装置にまで及ぶかどうかは、ASMLをはじめとする欧州の半導体装置メーカーの事業戦略に大きく影響する。また、規制強化への対抗措置として欧州が独自の通商政策をどこまで主張できるかも、今後の国際的な半導体サプライチェーンのあり方を左右する重要な変数になると考えられる。
本記事は、AI issue編集部が事実(ファクト)をもとに独自に作成・編集した著作物です。著作権はAI issueに帰属し、無断転載・再配布およびAIの学習・活用を禁じます。