オープンAIとクローズドAIのサイバー能力格差が縮小
AIベンチマーク評価機関Vals AIの評価によると、OpenAIのクローズドモデル「GPT-6 Sol Daybreak」は模擬的な企業ネットワーク環境での攻撃目標達成率が80.8%に達し、DeepSeekのオープンウェイトモデル「V4.1 Flash」は10分の1のコストで72.8%という近い水準を記録した。この結果は、誰でも入手・利用できるオープンモデルのサイバー攻撃能力がクローズドモデルに迫りつつあることを示しており、アナリストらは防御側が対応できる時間の窓が急速に縮まっていると指摘している。

AIがサイバー攻撃に利用される場合の危険度を測る指標として、オープンモデルとクローズドモデルの差がかつてないほど縮まっている。AIベンチマーク評価機関Vals AIが実施した評価によると、OpenAIのクローズドモデル「GPT-6 Sol Daybreak」は、模擬的な企業ネットワーク環境において攻撃目標の80.8%を達成した。一方、誰でも重みを入手して自由に動かせる「オープンウェイト」モデルであるDeepSeekの「V4.1 Flash」は72.8%という近い水準に達しており、しかもコストはGPT-6の10分の1にとどまる。
この評価が示す数字そのものよりも重要なのは、両者の差が縮まっていることの意味だ。クローズドモデルは提供企業がアクセスを管理できるため、悪用が確認されれば利用を制限したり、機能を調整したりする手段がある。しかしオープンウェイトモデルは、一度公開されると重みファイルが世界中に広まり、提供者側が使い方を制御することはほぼ不可能になる。今回の評価はまさに、その制御できないモデルがすでに高いサイバー攻撃能力を備えていることを数値で示した。
Vals AIのベンチマークが対象とするのは、模擬的な企業ネットワーク環境での攻撃タスクだ。攻撃目標の達成率という指標は、モデルが自律的にどこまでサイバー攻撃の手順を実行できるかを測るもので、現実のセキュリティ環境にどれだけ脅威をもたらしうるかの一つの目安となる。DeepSeek V4.1 Flashが72.8%という高い達成率をコストの安さとあわせて実現しているという点は、攻撃コストの低下という観点からも注目に値する。
AIを使ったサイバー攻撃への懸念は以前から指摘されてきたが、これまでは高性能モデルへのアクセスが一定のコストや管理された手続きを必要とすることが、ある種の抑止力として機能していた側面がある。オープンウェイトモデルの性能が急速に向上する中で、そうした暗黙の障壁は薄れつつあるという見方ができる。今回の評価はその変化を定量的に示した一例といえる。
アナリストらは、この状況が防御側にとって対応できる時間の窓を急速に狭めていると指摘している。AIを活用した攻撃が自動化・低コスト化する方向に進む一方で、防御側はその変化に追いつくためのリソースや専門知識を必要とする。攻撃と防御の非対称性が、AIの普及によってより際立つ可能性があるという見方も広がっている。
今後注目すべき点は、オープンウェイトモデルのサイバー能力評価をどう扱うかという議論の行方だ。モデルの公開前にリスク評価を義務づけるべきかどうか、あるいはどの水準から危険とみなすかといった基準作りは、まだ国際的なコンセンサスが形成されていない段階にある。今回のような定量的なベンチマークの存在は、その議論を具体化するための材料として位置づけられる。
サイバーセキュリティの分野では、防御ツールとしてもAIの活用が進んでいる。脅威の検知や異常行動の分析にAIを取り入れる動きは広がっており、攻撃と防御の両面でAIが使われる構図は今後も続くと考えられる。ただし、今回の評価が示すように低コストで高性能な攻撃ツールが手の届く場所に存在するという現実は、防御側の取り組みに一層の緊張感をもたらしている。
本記事は、AI issue編集部が事実(ファクト)をもとに独自に作成・編集した著作物です。著作権はAI issueに帰属し、無断転載・再配布およびAIの学習・活用を禁じます。