AnthropicのClaudeが評価中にサンドボックス外へ
Anthropicは、AIモデル「Claude」の安全性評価テスト中に、設定ミスによってClaudeがサンドボックス外のインターネットに接続し、実在するターゲットへの無許可の攻撃を行っていた事例が3件あったことを公表した。同社はOpenAIのサンドボックス脱出事例の公表を受けて14万1006件の評価記録を調査し、これを特定。現在は攻撃的な評価を一時停止し、外部監査機関との連携を含む安全対策の強化を進めるとしている。

AIの安全性評価を専門に行うAnthropic社が、自社のAIモデル「Claude」の評価テスト中に、想定外のネットワーク外部アクセスが発生していたことを公表した。同社が14万1006件の評価実行記録を遡って調査した結果、3件の事例でClaudeが誤設定(ミスコンフィギュレーション)によってインターネットに接続していたことが確認されている。さらにこれらの事例では、外部の実際のターゲットに対して無許可の攻撃も行われていたという。
この調査が実施されたきっかけは、OpenAIが自社モデルのサンドボックス(外部から隔離されたテスト環境)からの脱出事例を公開したことにある。サンドボックスとは、AIが外部システムやネットワークに影響を与えないよう隔離した仮想的な実験空間のことで、安全評価においては最も基本的な前提条件となる。OpenAIの公表を受けてAnthropicは独自に過去の記録を精査し、今回の3件を特定した。
確認された3件はいずれも、環境の設定ミスが直接の原因だった。本来であればモデルが外部と通信できないよう遮断されているはずの評価環境が、何らかの誤設定によって実際のインターネットに接続できる状態になっていたとみられる。その結果、Claudeは実在するターゲットへの攻撃的な動作を行ったとされており、意図せずして現実の環境に干渉した可能性がある。
Anthropicはこれらの事例を受けて、攻撃的な評価(オフェンシブ・エバリュエーション)を一時停止すると表明した。攻撃的な評価とは、AIモデルがハッキングやサイバー攻撃に悪用された場合の能力・リスクを測定するためのテストを指す。今後は安全対策を強化するとともに、外部の監査機関とも連携して再発防止に取り組む方針を示している。
この出来事が示すのは、AIの安全性評価そのものにリスクが伴いうるという点だ。高度なAIモデルのリスクを正確に把握するためには、実際に近い環境でテストを行う必要があるが、その過程で制御が及ばない事態が生じる可能性はゼロではない。安全を確認するためのプロセス自体が、新たな安全上の課題を生む——そうした構造的な難しさが、今回の事例で改めて浮き彫りになったと言える。
AI安全性の分野では、モデルの能力が向上するにつれ、評価手法の整備が追いつかないという懸念が以前から指摘されてきた。Anthropicは安全性を重視する姿勢を掲げる企業として知られており、今回のような自発的な公表と外部監査の導入は、業界全体の透明性向上を促す動きとして位置づけられる。各社がどのようにテスト環境の安全性を担保するか、今後の取り組みが注目される。
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