AI産業Meituan2026年6月30日 20:22

美団、大規模オープンモデル「LongCat-2.0」を公開

中国のデリバリー大手・美団(Meituan)は、大規模言語モデル「LongCat-2.0」を正式にオープンソース公開した。パラメータ数1.6兆規模のこのモデルは、過去2か月間「Owl Alpha」という匿名名義でOpenRouterの開発者ランキング上位に位置していたことでも知られる。注目すべき点は、5万台以上の中国国産ASICチップのみで訓練が行われた点で、米国の輸出規制が続く中での国産半導体による大規模学習の実例となっている。MITライセンスで商用利用可能、かつキャッシュ済みコンテキストの処理が無料という料金設計で、企業向け展開を積極的に狙う。

美団、大規模オープンモデル「LongCat-2.0」を公開

中国のデリバリー大手・美団(Meituan)は、大規模言語モデル「LongCat-2.0」をGitHub・Hugging Face・自社プラットフォームで正式に公開した。このモデルはMITライセンスで提供されており、商用利用も含めて自由に使える。パラメータ数は1.6兆という規模で、複数の専門モデルを組み合わせる「MoE(Mixture-of-Experts)」と呼ばれるアーキテクチャを採用している。

実はこのモデル、公開前から開発者コミュニティの間で存在感を示していた。過去2か月間、「Owl Alpha」という匿名の名前でOpenRouterに登録され、グローバルの開発者ランキングで上位に位置し続けていた。今回の正式公開によって、その正体が美団のLongCat-2.0であることが明らかになった形だ。OpenRouterとは、複数のAIモデルを一元的に利用できるAPIプラットフォームで、世界中の開発者が実際のパフォーマンスを基にモデルを評価する場としても機能している。

技術面では、最大100万トークンのコンテキストウィンドウ(一度に処理できる文章の長さ)を持つ点が特徴だ。料金体系はAPIの従量課金制で、標準価格は入力100万トークンあたり0.75ドル、出力100万トークンあたり2.95ドルに設定されている。さらに期間限定の割引価格として、入力0.30ドル・出力1.20ドルが適用されており、この価格はGoogle、OpenAI、Anthropicなどの主要モデルと比較しても低い水準にある。加えて、キャッシュ済みのコンテキストに対するAPI呼び出しは無料で処理される仕組みも備えている。

このモデルが特に注目される理由のひとつが、学習環境にある。LongCat-2.0は、5万台以上の中国国産ASIC(特定用途向け集積回路、つまり特定の処理に特化した半導体チップ)のみで構成されたクラスターで訓練された。米国の輸出規制によってNVIDIA製GPUなど高性能チップの中国への供給が制限される中、国産チップだけで大規模モデルの学習を完遂した事例として、産業面で大きな意味を持つ。

AIモデルの開発においては、学習に使うチップの性能がモデルの品質や訓練コストに直結するとされてきた。そのため、トップクラスの性能を持つモデルの多くは米国製の高性能GPUを前提としている。今回の事例は、その前提に疑問を投げかけるものとして、中国のAI産業における半導体自給の取り組みを測る一例と位置づけられる。

オープンソースモデルの競争は、2024年以降に中国発の主要モデルが相次いでリリースされたことで、一段と激しくなっている。LongCat-2.0はMITライセンスという使いやすい条件と、キャッシュ無料という独自の料金設計を組み合わせることで、企業が独自のAIシステムを構築する際の選択肢として訴求する戦略をとっている。美団が配達・EC・地図など多様なサービスを持つ企業であることを踏まえると、自社のAI基盤を強化しながら外部にも展開するという方向性も読み取れる。

今後の注目点は、匿名状態で2か月間トップランクを維持した実力が、正式公開後の広範な開発者による検証にどこまで耐えられるかという点だ。また、国産チップだけで訓練されたモデルが今後さらに性能を伸ばせるかどうかは、中国のAI開発全体の方向性を占う上でも重要な指標となっていくという見方ができる。

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AI issue 編集部

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