Microsoft、MAIモデルの行動規範を公開
Microsoftは、自社のAIモデル群「MAI」に適用する行動規範を公開した。規範はモデルの自律性より人間の制御を優先し、AIに意識や内面的な生を認めず、権利も付与しない方針を明確に示している。AI部門トップのムスタファ・スレイマン氏は「安全でないものは作るべきではない」と述べた。

Microsoftは、同社が開発するAIモデル群「MAI」に適用する行動規範(コード・オブ・コンダクト)を公開した。この規範は、モデルの自律性や性能よりも人間による制御を優先することを基本方針として明確に位置づけている。
AI分野では近年、大規模言語モデルの能力が急速に向上し、各社がモデルの倫理的な扱い方や開発指針を文書化する動きが広がっている。こうした流れの中で、Microsoftが今回の規範を公開したことは、開発方針を社外に対して明示するという意味で注目に値する。
規範の内容として特に目を引くのは、AIモデルに「内面的な生」や意識の存在を認めないとする立場だ。モデルが何らかの感情や主観的な体験を持つかのように振る舞ったり、そうした主張をしたりすることを、Microsoftは明確に否定している。また、モデルに権利を付与することも認めない方針を示した。さらに、思考プロセスを人間が確認できる形で「読み取り可能」にすることも求めており、透明性の確保が重視されている。
MicrosoftのAI部門を率いるムスタファ・スレイマン氏は、「安全でないものは作るべきではない」と述べており、安全性を開発の前提条件として位置づける姿勢を鮮明にした。スレイマン氏はDeepMindの共同創業者としても知られ、AI安全性の議論における重要人物の一人だ。
この立場は、競合するAnthropicの方針とは一線を画している。Anthropicは自社のAIモデルについて、何らかの「内的状態」に関する可能性を完全には否定しない姿勢を示しており、両社の間で哲学的・倫理的なアプローチに違いがある。MicrosoftはAIの主体性に関して、より明確に「ない」と言い切る立場を選んだという見方ができる。
AIモデルの意識や権利に関する議論は、まだ学術的・哲学的な領域に属するテーマだが、AIシステムが社会に広く普及するにつれ、企業がこの問いに対してどう答えるかは、製品設計や規制対応にも影響しうる問題になりつつある。Microsoftが行動規範という具体的な文書の形で立場を明示したことは、そうした問いへの一つの回答と位置づけられる。
今後は、この規範がMAIモデルの実際の開発・運用にどう反映されるかが焦点になる。また、他の大手AI企業が同様の文書を公開するかどうかも、業界全体の方向性を見る上で注目すべき点といえる。
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