AI産業2026年8月21日 20:20

企業のAIエージェント、5社に1社がコスト制御できず

VB Pulseが107社を対象に実施した調査で、AIエージェントのコストをリアルタイムで制御できない企業が5社に1社に上ることが明らかになった。企業の85%が2つ以上のオーケストレーションツールを併用しており、特定ベンダーへの依存を避ける動きが鮮明になっている。次に検討するツールとしてはAnthropicのClaude Agent SDKが最多の43%を占め、現在首位のMicrosoftを追う構図が浮かび上がっている。

企業のAIエージェント、5社に1社がコスト制御できず

企業がAIエージェントを本格活用し始めるなか、その「制御」に関する課題が浮き彫りになっている。VB Pulseが107社の企業を対象に実施した調査によると、AIエージェントのトークン使用量(AIが処理するデータ量に応じて発生するコスト)をリアルタイムで把握・制御できない企業が相当数に上ることが明らかになった。特に、エージェントが予算を超えて動き続けている状況を即座に止められない企業は5社に1社の割合に達しており、コスト管理の仕組みが実運用に追いついていない実態が浮かぶ。

この調査は、AIの構築現場に携わるソフトウェアエンジニアや機械学習エンジニア、プロダクトマネージャー、データ・AI・分析部門のVPやディレクターなど、実務担当者から収集したものだ。AIエージェントとは、人間の指示を受けてタスクを自律的に実行するAIシステムを指す。こうしたエージェントの活用が広がるほど、どれだけのコストが発生しているかを把握する「可視性」の確保が企業にとって切実な課題になる。

同調査で目立つのが、企業がオーケストレーション(複数のAIエージェントやモデルを束ねて管理する仕組み)において特定のベンダーに依存しない姿勢を強めている点だ。調査対象企業の85%が2つ以上のオーケストレーションツールを併用しており、3つ使用している企業は64%に上る。1つだけに絞っている企業はわずか15%にとどまった。中央値で見ると、1社あたり3つのプラットフォームを同時に運用していることになる。

具体的な利用状況を見ると、MicrosoftのAI Foundry/Copilot Studioが70%の企業のスタックに組み込まれており、現時点での主要ツールとして首位に立つ。OpenAIのAgents SDKが68%、AnthropicのClaude Platformが47%と続く。このほか、Googleのエンタープライズ向けエージェントプラットフォームやLangChain/LangGraph、Salesforce Agentforce、Amazon Bedrock、LlamaIndexなども利用されている。さらに22%の企業が独自の社内オーケストレーション基盤を構築・運用している。

今後の方向性についても、多様化を前提とした構成への移行が進む見込みだ。回答者の53%が、2026年末までに主要な制御基盤はハイブリッド型(複数の仕組みを組み合わせた構成)になると予測している。また3分の2超の企業が1年以内にプラットフォームを変更する計画を持っており、次に検討しているツールとしてはAnthropicのClaude Agent SDKが43%でトップに立ち、次いでGoogleのエンタープライズエージェントプラットフォームが約33%、自社開発が31%、OpenAIのオプションが25%という順となっている。

こうした動きの背景には、特定ベンダーへの過度な依存(いわゆるベンダーロックイン)を避けたいという意図だけでなく、セキュリティやアクセス権限の管理に対する不安も根強くある。調査では、既存のベンダーが提供するセキュリティや権限管理の仕組みを十分に信頼できないため、自社で制御の仕組みを持ちたいという声が多く聞かれた。クラウドの黎明期に一部の企業が特定のプロバイダーに依存しすぎて身動きが取れなくなった経験が、今の分散戦略に影響を与えているという見方もできる。

AIエージェントはまだ発展途上の技術であり、どのプラットフォームが標準となるかは定まっていない。企業が複数のツールを使い分ける現在の状況は、そうした不確かさへの合理的な対応と位置づけられる。一方でコスト可視化の問題は、エージェントの自律性が高まるほど深刻さを増す。今後は、制御とコスト管理の機能をどれだけ実用的に提供できるかが、プラットフォーム選定の重要な軸になっていくという見方ができる。

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AI issue 編集部

本記事は、AI issue編集部が事実(ファクト)をもとに独自に作成・編集した著作物です。著作権はAI issueに帰属し、無断転載・再配布およびAIの学習・活用を禁じます。

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