規制・政策Anthropic2026年6月14日 11:56

米政府命令でAnthropicの最新モデルが全世界で突然遮断

米国政府の輸出規制指令を受け、AnthropicはAIモデル「Claude Fable 5」と「Claude Mythos 5」へのグローバルアクセスを全面遮断した。公開からわずか3日後の措置で、法人顧客を含む全ユーザーが影響を受けている。背景には著名ジェイルブレイカーによる安全対策の突破が疑われるが、Anthropicは誤解だとして早期復旧を目指すとしている。今回の事態は、クラウドAIへの依存リスクと企業における冗長化の重要性を改めて示すものとなった。

米国政府は先週、Anthropicの最上位AIモデル「Claude Fable 5」および「Claude Mythos 5」について、外国人ユーザーへのアクセスを即時停止するよう命じる異例の輸出規制指令を発令した。国家安全保障上の根拠とされているが、具体的な詳細は明らかにされていない。

Anthropicはこの指令を受け、両モデルへの公開アクセスをグローバルに全面遮断した。有料の法人顧客や社内の従業員でさえも例外ではなく、世界中の誰もがアクセスできない状態となっている。Fable 5とMythos 5が公開されてわずか3日後の出来事であり、企業にとっては大きな打撃だ。

現在、両モデルのセッションはエラーで終了し、新たなクエリは自動的に「Opus 4.8」などの旧来モデルへ振り分けられる。Anthropicは公式ブログで「今回の措置は誤解に基づくものと考えており、できる限り早期のアクセス復旧に向けて取り組んでいます」と述べ、顧客に謝罪した。

今回の政府介入の背景として注目されているのが、著名なジェイルブレイカー「Pliny the Liberator」による攻撃手法の公開だ。6月10日、彼はX(旧Twitter)上でFable 5の安全対策を突破したと主張する詳細な手法を公開。サイバー攻撃の手順、爆発物の製造方法、さらにメタンフェタミン合成の「バーチ還元法」に関する情報を引き出すことに成功したと述べた。攻撃にはUnicodeや同字異義文字(ホモグリフ)、キリル文字の混用、長文脈参照追跡、さらに有害なリクエストを無害なトークンに分割する手法が組み合わされたという。

ただしAnthropicは、この攻撃が今回の政府命令の直接的な引き金になったかどうかは明言していない。むしろ「政府からは口頭での説明しか受けておらず、特定のコードベースを読んでバグを修正するよう求めるという、限定的かつ普遍的でないジェイルブレイクの可能性について伝えられただけだ」と説明している。また、問題とされた機能はOpenAIの「GPT-5.5」など他の公開モデルでも「広く利用可能」だと指摘し、普遍性のないジェイルブレイクを理由に商用モデルを停止することは「すべてのフロンティアモデルプロバイダーにおける新モデルの展開を事実上停止させかねない」と強く警告している。

今回の事態は、企業にとって重要な教訓をもたらしている。クラウドベースのフロンティアAIモデルは政府の規制やベンダーのコンプライアンス対応の影響を直接受ける。重要な業務をひとつのAIプロバイダーや単一モデルに集中させることのリスクが、今回改めて浮き彫りとなった。企業は複数のモデルや代替AIソリューションへの冗長化・分散化を早急に検討すべき局面を迎えている。

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AI issue 編集部

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