Instacart、障害調査AIアシスタント「Blueberry」を開発
米食料品配達サービスのInstacartが、システム障害の調査を支援するAIアシスタント「Blueberry」を開発した。複数のAIエージェントと過去の障害履歴を組み合わせ、根本原因の仮説をSlack上でエンジニアに提示する仕組みで、調査にかかる時間の短縮を目的としている。

食料品配達サービスのInstacartが、エンジニア向けのAIアシスタント「Blueberry」を開発した。このツールは、システム障害が発生したときに対応を担うオンコール(待機当番)エンジニアが、原因調査をより速く進めるための支援システムとして設計されている。
そもそも、現代のソフトウェアサービスでは、本番環境(実際にユーザーが使うシステム)で予期しないトラブルが起きることは珍しくない。こうした「インシデント(障害)」が発生すると、担当エンジニアはログやメトリクスと呼ばれる各種データを手作業で掘り起こし、問題の根本原因を特定する必要がある。この調査作業は時間がかかるうえ、経験や勘に頼る部分も大きく、エンジニアへの負担が課題とされてきた。Blueberryは、まさにその「調査の負担を減らす」ことを目的として生まれた。
Blueberryの仕組みは、AIエージェント・運用データ・過去の障害履歴という三つの要素を組み合わせている。AIエージェントとは、与えられた目的に向かって自律的に情報を集めて判断するAIプログラムのことを指す。Blueberryは複数のサブエージェントを並行して動かすことで、さまざまな角度から情報を収集・分析できる。また、MCP(Model Context Protocol)と呼ばれる外部ツール連携の仕組みも組み込まれており、社内の各種システムとデータをスムーズにやりとりする。
分析結果は、エンジニアが日常的に使うビジネスチャットツール「Slack」上に表示される。Blueberryは過去の類似インシデントの記録も参照しながら、「根本原因の仮説」を生成してエンジニアに提示する。重要なのは、最終的な判断や対処はあくまでエンジニア自身が行う点で、Blueberryはその判断をサポートする情報を整理・提供する役割に徹している。
こうした設計は、AIがすべてを自動解決するのではなく、人間の専門知識を引き出す「補助役」として機能させるという考え方に基づいていると見ることができる。エンジニアが普段使い慣れたSlackの中で結果を受け取れるため、新しいツールへの学習コストを抑えながら運用に組み込めるという点も、実用性の観点から注目できる。
Instacartのような消費者向けサービスでは、障害発生時の復旧速度がユーザー体験や事業損失に直結するため、調査時間の短縮は実際のビジネス上の課題に対応するものと位置づけられる。今回の取り組みは、エンジニアリング組織がAIを活用して運用効率を高めようとする動きの一例として捉えられる。
Blueberryが実際にどれほど調査時間を短縮できるか、またどのような種類のインシデントに対して有効かといった定量的な成果については、現時点では公開された数値はない。今後、こうした現場適用の結果が共有されることで、同様の課題を持つエンジニアリング組織への参考事例となる可能性がある。
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